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鉄道会社の年休の時季変更権行使に合理性の判決

皆さんの会社には、年次有給休暇(以下「年休」という)の制度が整備されているかと思います。年休は、労働者が好きな日に理由を問わず仕事を休むことができる制度です。
これを「年休の時季指定権」といいます。

具体的には、入社してから6か月経過したときに10日分の年休を取得する権利が付与されます。さらに入社から1年6か月経過後に11日分と増えていき、6年6か月経過以後は毎年20日分の年休が付与されます。
また、使わなかった年休は翌年に限り繰り越すことができます。

さて前述のとおり、年休は労働者が好きな日に取得することができるのですが、業務繁忙期など会社としては労働者が指定した日に年休を取得されると業務の運営に支障が生じる場合もあると思います。
そのような場合は、他の日に年休を取得してもらうよう労働者にお願いすることができます。
これを「年休の時季変更権」といいます。

さて先般、「年休の時季変更権」に関して東京高等裁判所で判決が出されました。今回はこの判決について取り上げてみたいと思います。

1.裁判の内容

JR東海で新幹線運転士として働く労働者6人が、各勤務日の5日前に会社が「年休の時季変更権」を行使したのが違法であると訴えた裁判で、東京高等裁判所は同社に計54万円の支払いを命じた一審判決を変更し、労働者らの請求を
すべて棄却しました。

つまり、「年休の時季変更権の行使」について、第一審の裁判では認められなかったが、第二審の東京高等裁判所の判決では認められたということです。

この会社の年休については、前月20日までに労働者に取得希望日を申請させ、勤務日の5日前に会社が時季変更権を行使するかどうかを決める運用をしていました。
今回の高等裁判所の判決では、東海道新幹線の需要は見通すのが難しく、臨時で運行する列車を機動的・即応的に設定する必要があったと指摘。
5日前の「年休の時季変更権の行使」は合理的であり法の趣旨に反しないと結論づけました。

2.この裁判の今後

今回の高等裁判所の判決は、第一審の地方裁判所の判決と異なる内容であるため、今後、最高裁判所に上告した場合にいかなる判決が出るかは不透明です。

3.まとめ

今回の「年休の時季指定権の行使」に関する裁判は、第一審と第二審で異なる判決となっているため、会社側の言い分と労働者側の言い分のどちらが正しいかについて結論づけることはできません。
また、今回の裁判はJRの新幹線運転士という特殊な職種についてのものですので、他の職種について同じ解釈ができるとは限りません。

企業経営者としては、「年休の時季変更権の行使」にあたっては、労働者側と十分な話し合いをした上で実施することが肝要かと思います。