振替休日と代休は同じであると思っておられる方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はこの二つは内容が異なるのです。
そこで今回は、振替休日と代休の違いと注意点について取り上げてみたいと思います。
振替休日とは、あらかじめ休日とされていた日を勤務日とし、その代わりに勤務日とされていた日を休日にすることをいいます。
例えば、もともと月曜日から金曜日が勤務日(1日の所定労働時間8時間)で土日が休日であった場合に、事前に週の初日である日曜日を出勤日とする代わりに火曜日を休日とする場合が該当します。
一方、代休とは、もともと休日とされていた日に勤務させたあと、その代わりとしてもともとの勤務日を休日にすることをいいます。
例えば、もともと月曜日から金曜日が勤務日(1日の所定労働時間8時間)で土日が休日であった場合に、週の初日である日曜日に勤務させたあと火曜日を休日とする場合が該当します。
それでは、振替休日と代休は何が違うのでしょうか。
前述のように、振替休日では、あらかじめ勤務日と休日をトレードします。
それに対し、代休では、休日出勤した後に事後的に休日を取得します。
つまり、あらかじめトレードするか事後的に取得するかが相違点なのです。
振替休日と代休では、最終的に勤務日数は同じになります。
しかし、給与計算する際には注意すべき点があります。
まず、振替休日の場合について考えてみましょう。
上記1.を例に挙げますと、休日を日曜日から火曜日に事前に振り替えているだけですので、1週間のトータルの労働時間に変動はなく、追加での賃金の支払は必要ありません。
つまりもともとの休日である日曜日に勤務していますが、休日出勤手当などの支払いは必要ないのです。
次に、代休の場合について考えてみましょう。
上記2.を例に挙げますと、事前に勤務日を振り替えているわけではありませんので、日曜日の勤務は休日勤務になります。
そのため、通常の賃金1日分の1.35倍の賃金を支払う必要があります。
そして火曜日は休んでいますので、通常の賃金1日分をカットすることができます。その結果、差し引き、通常の賃金1日分の0.35倍の賃金を支払う必要が出てくるのです。
つまり、1週間のトータルの勤務時間は同じであっても、振替休日か代休かにより、賃金の支払額が異なってくるのです。
振替休日を実施する場合は、就業規則に休日を振り替えることのできる旨を記載しておく必要があります。
また、上記の例では、振替休日の場合は追加の賃金の支払は必要ない旨述べましたが、これはあくまで同一の週内で振り替えた場合のケースです。
もし、休日と勤務日を週をまたがって振り替えた場合は、振替休日であっても追加の賃金の支払が必要になる場合があります。
例えば、もともと月曜日から金曜日が勤務日(1日の所定労働時間8時間)で土日が休日であった場合に、土曜日と翌週月曜日を振り替えたとします。
その場合、土曜日に勤務した週は48時間労働、月曜日に休んだ週は32時間労働となります。
そのため、土曜日に勤務した週は週40時間の上限を超えた8時間分については通常の賃金1日分の1.25倍の賃金を支払う必要があり、月曜を休んだ分の賃金をカットしたとしても、差し引き通常の賃金1日分の0.25倍の賃金の支払が必要になってしまうことになります。
つまり、振替休日であるからといって必ずしも追加の賃金の支払が不要とは限りませんので、振替休日を適用する場合は十分な注意が必要となります。