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天橋立を渡る

暑いですね。
盆地特有の京都の暑さは、あえて取り上げるまでもありません。
あえて暑さの話などせず、出来れば暑さを忘れたい。
というわけで、今回は海の見える府北部を旅しましょう。

■京都の海

関西在住ではない他府県の方に「京都には海がある」と言うと、意外な顔をされます。山に囲まれたイメージがある京都ですが、「京都府」というスケールで見ると、日本海側の丹後地方までが含まれるためです。

京都府は、北西から南東まで、斜めに細長い形をしています

京都市から日本海に面した宮津市まではおよそ120km。
最近全通した京都縦貫道経由で90分ほど、それが無いころは2時間ほどかかりました。
列車でも同じくらいの時間を要すので、京都市民にとっては同じ府内の北部より、大阪や神戸のほうがよっぽど近い存在です。
そもそも京都府、特に北部の境界が決まる過程は紆余曲折を経ており、廃藩置県を経て一度は豊岡県とされたところ、後刻京都と兵庫に整理された経緯もあります。
このため、同じ府内であっても、南部と北部では方言や文化がかなり違います。

一方で、丹後や丹波にルーツを持つ方が京都市内に多く住んでいるのもまた事実です。
故にか、他県でよく聞く同一県内の地区別のいがいみ合いとか、勢力争いのようなことは殆どありません(京都市への一極集中が過ぎるきらいもありますが)。

■天橋立を見る

さて、そんな府北部の代表的な景観であり、シンボルであり、観光地なのが「天橋立(あまのはしだて)」です。
宮城の松島、安芸の宮島と共に日本三景に数えられ、宮津湾と阿蘇海(あそのうみ)に挟まれた細い砂州の上に松が生えた景観は、写真を見ずとも誰もがメージできると思います。

以下、地元の方に倣って橋立(はしだて)と読み書きします。

橋立と言えば股を開いて逆さまにして見る習わし「股のぞき」があまりにも有名ですが、それをするには、ある程度高いところまで登らないといけません。
代表的なビュースポットは「傘松公園」です。駅から見るとちょうど一番奥、橋立を渡り切った反対側です。

公園まで行く方法は、大きく2つ。

一番メジャーなのは遊覧船に乗ることで、 智恩寺の桟橋から一の宮桟橋まで、10分強で着きます。
次いで選択されるのは、歩きです。というのも、橋立は歩いて渡れます。

橋立上は砂利が敷かれた遊歩道で、自動車は通れません。
「京都府道607号」ということで、まさかの府道指定、そして日本の道100選にも名を連ねています。

橋長?は3kmほどあり、歩いて45分程度。
船と組み合わせて片道だけ歩くのも、レンタサイクルで駆け抜けるのも良いですね。ランニングしている方も多く見かけます。
海に挟まれた松林の中を進むのは、不思議な気分です。

■天橋立を渡る

橋立に阻まれた阿蘇海は宮津湾に対して完全に閉じているのではなく、智恩寺側にある二つの細い水道で通じています。
このうち、南側には世にも珍しい「廻旋橋」が架けられており、高さのある船が通るときは、橋桁だけがぐるりと回り、船の通り道を作り出します。

この橋そのものが、ちょっとした観光スポットなのですが、観光船の数が減ってしまって、今はあまり回る姿を見ることができません。
一応、観光客の皆さんの熱い期待に応えるべく、毎週日曜日だけは通る船が無くても回しているようですが。

さて、橋を二つ渡ると、いよいよ橋立の砂州の中へ。
右手に海水浴場を臨むと、間もなく「磯清水」という名水が湧く天橋立神社が現れます。

海と海に挟まれたこんなところに真水が湧くのは実に不思議ですが、松が生えているということは地下水脈が通っていることにほかなりません。
このあたりが、橋立の中でも最も幅が広いところで、左手の海岸と右手の海岸の間が150mほどあります。

さらに松林の中を淡々と進むと、両側から海が近付いてきます。
最も狭い場所では幅20m位になりますが、松林は途切れることなく続きます。

湾内ですので波は終始穏やかです。こうした様子から阿蘇海はごく浅いのかと思いきや、最深部は13mほどあります。
意外にも橋立は海底からかなりの急斜面で切り立っているのです。

砂利道が尽きて家並みが始まると、間もなく傘松側の船着場「一の宮桟橋」が見えてきます。

どうでしょう、写真ではよく見るであろう天橋立、歩いてみてもなかなか興味深い場所だと思います。

展望台、そして股のぞき台のある傘松公園へは、ケーブルカーかリフトで登ります。料金は変わりませんので、天候や気分にあわせて好きな方を選べます。

行きと帰りで違うものを選ぶこともできますが、帰りはぜひ絶景のリフトでどうぞ!

■股のぞきをしてみよう

股のぞきをするなら傘松公園と書きましたが、実はもう一か所、股のぞきスポットがあります。その名も「天橋立ビューランド」。
天橋立を見る所という、何とも安直…直接的なネーミングですが、要はミニ遊園地です。

駅のすぐ裏手にあり、傘松公園まで行く時間が取れない場合に、サクッと登ってサクッとのぞける、便利な場所です。
もちろん、股のぞき台も完備。山上へは、傘松公園同様、ケーブルカーとリフトが通じています。

ちなみに、ビューランドからの眺めは、竜が空に舞っているように見えることから「飛龍観」、対する傘松公園は「昇龍観」と呼ばれています。
まぁ、言われてみれば、確かに、そうなのかもな…といった具合ですが。

さて2016年、イグ・ノーベル賞(人を笑わせ、考えさせる研究に対する世界的な表彰)に「股のぞき効果」が選ばれています。
これは、前かがみになって股の間から風景を見ると、遠くにある物体が通常より小さく遠ざかって見える現象を言いますが、これが「視野の逆転」によるものか、それとも「上体の逆転」によるものかを、京都の立命館大学・東山篤規教授が10年かかって突き止めたという話です。

一応、結論は「上体の逆転」、すなわち頭を下にすることで起こるのですが、
え?どうでも良い??

でも、この話は面白くて、人間の見ている視野・視界は、単に目で見たそのままの姿を認識できているのではなく、身体の向きなどの姿勢や見る方向などいわゆる視覚以外の身体感覚に、かなり大きな影響を受けていることが説明されています。

いわゆる「錯視」です。

昔の人は、天橋立という一つの風景をパッと見て終わるのではなく、きっといろんな角度や姿勢から見てみたのでしょう。
そして、あのヘンテコな股のぞきで見た時の美しさ、面白さに気付いてしまい、それが今日まで連綿と伝えられている。

天橋立は、ネット上に画像が溢れ、実際に現地に行かなくても行った気になれてしまうSNS時代のいまこそ、モノの見方、楽しみ方を教えてくれる場所なのかもしれません。

□天橋立ビューランド
https://www.viewland.jp/
ホームページにはライブカメラ映像があります。
せっかくですので、今の天橋立の姿を眺めてみませんか。

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