暗号資産の税務上の取り扱い
季節は本格的な秋へと移り変わり、朝晩は冷え込み、日中も過ごしやすい日が増えてきました。この時期は急な気温の変化で体調を崩しやすいため、引き続き体調管理には注意が必要です。
トランプ大統領の関税外交に注目が集まっていますが、暗号資産（仮想通貨）への政策も気に係るところです。
暗号資産（仮想通貨）は現在、トランプ大統領の２期目における最も具体的な成果の一つとなっていると言われております。
日本においても、仮想通貨の法整備が行われ、2016年から2017年にかけて、クレジットカードや電子マネー等で決済事業を規制する資金決済法においても仮想通貨が支払手段として規定されました。今回は暗号資産（仮想通貨）取引に関する税務上の取り扱いについて説明します。
1.暗号資産（仮想通貨）とは・・・
現行の日本の法律において仮想通貨は、支払手段＝通貨として正式に取り扱われます。
どのような特徴を持った通貨であるかと言う点について、円やドルなどの法定通貨と仮想通貨の代表であるビットコインを比較してみました。
- 実態 法定通貨：貨幣や硬貨だが、デポジット等の方式で電子マネーやクレジットの形式で使用する場合もある。
- 実態 ビットコイン：実体はなく、仮想ネットワーク上の取引の履歴とその結果としての残高記録
- 管理／信用 法定通貨：国家や中央銀行によって集中的に管理され、価値が保証されている。
- 管理／信用 ビットコイン：管理者は存在せず、取引の参加者全員が相互に承認し合う仕組み
- 取引場所 法定通貨：銀行、証券会社等
- 取引場所 ビットコイン：仮想通貨取引所、販売所
このように法定通貨との違いがありますが、約500円からという低額投資が可能、２４時間いつでも取引が可能、スマホで簡単に閲覧・取引ができるという身軽さが要因で、仮想通貨取引を始める方が増えてきています。金融庁認可登録済仮想通貨交換業者は2025年6月現在で28社あります。
2.暗号資産（仮想通貨）の所得税法上の取り扱い
仮想通貨取引における損益は原則として「雑所得」に区分され、総合課税の方法で税金計算が行われます。
＊株式やＦＸの譲渡は「分離課税」となっており、区分が違います。
3.仮想通貨取引で損失が出た場合の取り扱い
仮想通貨取引で損失が出た場合には、その損失は同じ「雑所得」に区分される利益とは損益通算ができますが、その損失により「雑所得」そのものがマイナスの場合には、「雑所得」のマイナスは他の所得区分（例えば給与所得）の利益とは損益通算ができませんので注意が必要です。
4.仮想通貨取引の利益の計算方法
■利益の計算方法
売却金額 ― 売却原価 ＝ 利益
仮想通貨取引における「売却」の認識のタイミングですが、仮想通貨取引は投資目的での売買もありますが、物品等を購入する支払手段の面も持ち合わせていますので、税務上の売却は、「仮想通貨の売却」「仮想通貨決済による商品の購入」「仮想通貨同士の交換」などが該当します。
5.仮想通貨取引における「売却原価」の計算方法
「売却原価」は仮想通貨を購入した時の金額になります。仮想通貨を１度しか購入していなければ、「売却原価」の計算は単純ですが、複数回にわたって購入した場合には、移動平均法又は総平均法を用いて計算します。
又、購入金額が不明の場合には、売却金額の５％相当額を売却原価として計算します。
6.消費税の取り扱い
仮想通貨の売却は消費税の課税対象とはなりません。
