京都の人はパンがお好き?

突然ですが。京都市は、2014年のパンの消費量が全国一位となりました。
(総務省の家計調査から、都道府県県庁所在地および政令指定都市別パン年間消費量ランキング)

こう聞いて、皆さんどう思われるでしょうか。
「へ~、意外!」
「和食のイメージがあるけど?」
「外国人観光客が多すぎて統計が歪んでるんと違うの?」
ともあれ、それが事実ならば、なぜそうなったかが知りたいところ。

ちなみに、二位は神戸市(なんだかこれは妥当な気がする)、三位は岡山市、以下大津市、大阪市、奈良市と続き、全体的に関西地区の消費量の多さが目につきます。
なお、京都市の62,599グラムは全国平均(44,887グラム)と比べると1.4倍、最も少ない福島県(30,269グラム)と比べるとその差は2倍強となっています。

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□神戸から伝わった

京都のパンの歴史はそう古いものではありません。

そもそも日本で本格的にパン食が始まったは大正期。この100年ほどで爆発的に広がったにすぎません。当時、京都市内でパンを作る店は少なく、ホテルやレストランはわざわざ神戸から取り寄せていたようです。

なお、神戸は現在も言わずと知れたパンの街で、今でも年によっては京都を抜いて消費量一位となることがよくあります。
(なお、関東では「横浜」がパンの消費量の多い街、そして日本のパン食発祥の地として知られます。港町で、古くから外国人が多い、というのが共通項ですね。)

そんな状況に業を煮やした続木斉(つづきひとし・進々堂の主人)は、京都でも本格的なパンを出すべく、日本人として初めて「パンの修行のために」本場フランスへ渡りました。

そして、3年におよぶ修行の末、当時最高品質のドイツ製オーブンにアメリカ産イーストをもって日本初のフランスパンを売り出します。しかし、残念ながら柔らかな米食に慣れ親しんだ当時の京都市民には、全く売れませんでした。

しかし、次第に風向きは変わります。

まずは新しいモノ好きな町衆を中心に、こちらも新しい文化・コーヒーと共に徐々に生活にパンを採り入れるようになります。
そして京都は元来職人の街。朝早くから寝食を忘れ仕事に打ち込む彼らにとって、調理の手間が省けるパン食は好都合でした。

パン屋さんもこうした志向をとらえ、フランスパンだけでなく、カツサンドやカレーパンなど、品ぞろえにも独自の進化を加え、徐々に支持を集めていきました。
また、特に進々堂では、早くからイートインコーナーを充実させ、毎朝焼き立てのパンとコーヒーを楽しむ市民を増やしていきました。

今では食卓で堅いフランスパンをかじるのも、当たり前の光景になりましたよね。

何よりパンが市民に定着していると感じるのは、まちなかで年配の方が買っている姿、口にしている姿をよく見かけることです。
全世代に親しまれている様子が、文化として定着していると思わされます。

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□道を歩けば、パン屋に当たる

京都の中でも、特にパン屋が多い場所があります。

一般には今出川通りや烏丸御池駅周辺と言われますが、市民の実感としては、どこに住んでいても徒歩圏内に3-4件はあります。体感的には、コンビニや美容室並みの出現率です。

わざわざ遠方から買いに来られるような有名店もあれば、京都では名の知れたチェーン店や、地元民しか相手にしていないような、路地の奥まったところにひっそりと佇むお店もあります。

パン屋を回っていて面白いと思うのは、名の知れたお店も、そうでないお店も、価格帯はそう大して変わらないところ。だからこそ、有名なお店で買いたい!
という心理も分からなくはないですが、しかし、有名どころの「たま木亭」さんなんかに行けば、県外ナンバーの車で渋滞が発生したり、行列で店入るのに30分かかったり、ピーク時間帯を外すと売り切れたりと、それなりの覚悟が求められます(それを承知の上でも人が来る…)。

そうかといって、地元民のお勧めは?と聞かれても、困りものです(インターネット上には、ランキングがたくさんありますけど)。
というのも、多くの市民がその日の気分で使い分けてますからね…
それに、それぞれの人の好みの問題ですし。

何も考えずに、適当に歩いて、適当に見つけた(見つかるので!)お店に入ってみるのが面白いんじゃないでしょうか。そんな楽しみ方ができるのも、パン屋密集地・京都ならではかもしれません。

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□パンを愛する町

実は、見逃せないのが市民の台所・スーパーです。
注目はパン売り場。店の規模に関わらず、菓子パンの列、食パンの列、調理・惣菜パンの列で棚を分けていたり、とにかくスペースが大きく、選択肢が豊富。

実際、農家さんでも、お寺さんでも、お茶屋さんでも、要は職業に関わらず、聞けば毎日パンを食べるという方は多いです。パンへのアクセス環境の良さは、売れている証拠でしょうね。

前号でお届けした「町内運動会」でも、配られるのは弁当でもおにぎりでもなく、パンです(全部の町ではないと思いますが、私の町では)。
毎年観客席でパン喰いながら、パン喰い競争を眺めてますよ。
「ホンマにパン好きやなぁ」なんてことは考えもしませんが。
もう、「そういうもん」として。

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□ご当地グルメとしての「京都パン」

ただ、時間がない、出張の合間、変わったお土産に、手軽にご当地グルメを味わいたいとおっしゃるのなら、最近精力的に駅ナカに出店している創業60年の老舗「志津屋」さんなんかが手軽にアクセスできてお勧めでしょう。

中でも「カルネ」とか、「カツサンド」とか…まぁ京都の素材で作られた京都ならではの味、と言えるようなモンではないし、だからなんだと言えばまぁそうなんですけど(これ、ほとんどの「京なんとか」に言えなくもない)、市民が長年慣れ親しんてきた味と言えると思います。美味しいですよ。普通に。

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□京都はマクドナルド密集度日本一

もう一つ興味深いのが、今業績不振が話題のマクドナルド。
人口10万人当たりの店舗数で見ると、京都府は3.37件。全国平均の2.41件を大きく上回り、一番の密度となっています。

確かに、言われてみると多いです。市内をバスで走っていると、小規模ながらM字サインのお店が目につきます(といっても、景観条例が厳しいのでサインに赤色は使えず、うまいこと溶け込んでいますが)。

単純に、大量の外国人観光客入込数や多くの学生を擁することが影響していると考えられますが、京都のパン食文化も、一つの要因かもしれませんね。

※参考資料:新・都道府県別統計とランキングで見る県民性「とどラン」
http://todo-ran.com/

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