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桂川サイクリングロードを駆ける

苦しめないで あぁ責めないで
別れの辛さ知りながら
遠い日は二度と帰らない
夕やみの桂川

京都慕情で情感たっぷりに歌われた桂川。
京都市域では、保津峡から有名な嵐山「渡月橋」を通り、宇治川・木津川と三川が合流し淀川へと名を変える直前の「御幸橋」までのおよそ20kmを流れており、ほぼ全区間で並行するサイクリングロード(自転車歩行者専用道)が整備されています。

同じく河川敷を走ることができる鴨川と比べたら、桂川そのものには観光地としての知名度はほぼありません。
ただ、桂川サイクリングロードは地元・関西圏の自転車乗りやランナーにはそれなりに知られており、よく利用されています。

今回は、そんな「桂川サイクリングロード」を旅して、知られざる京都市南西部の表情を見に行きましょう。

■渡月橋から西大橋まで

起点は観光客でごった返す渡月橋のたもと、中の島公園です。
玉砂利の道を自転車を押して進み、中の島橋を渡ったところに入口と距離標があります。

サイクリングロードは主に堤防上で見晴らしが良いのですが、時折生活道路に吸収されたり、河川敷に降りたりと道路環境は次々に変化します。
そのたびに、小さなアップダウンや急なカーブを繰り返し、快走路、とは言い難いのですが、どことなく生活感の漂う空間を進んで行きます。

京都から西へ向かう大幹線・国道9号西大橋を渡る手前では、河川敷の広大な畑の中を行き、九条ネギや金時人参などの京野菜が栽培されている様子を観察できます。
農作業に向かうトラクターや軽トラには充分気を付けましょう。

■西大橋から久我橋

東岸に渡ると、目前に西京極運動公園の夜間照明がそびえます。
少し前まで京都サンガの拠点でしたが、2020年には桂川の上流・亀岡に立派なスタジアムが建設されました。
それでも、高校駅伝や京都マラソンのスタート地点、Bリーグ「京都ハンナリーズ」の拠点でもあり、高校野球京都府大会の決勝戦が行われるなど、西京極は京都市民のスポーツの聖地であり続けています。

桂離宮の近くを通り過ぎると、桜の名所「桂川緑地公園」に入ります。
2018年の台風でなぎ倒されても咲いた「ど根性サクラ」が植わっているのもこのエリアです。
その後、植え直されてすっかり綺麗になり、毎年美しい姿を見せています。

この辺りの川沿いにはグラウンドがいくつも連なっており、休日には野球やサッカー、テニスなどに精を出す子供達、大人たちの姿が目立ちます。
サイクリングロードの交通量も増え、犬の散歩やランニングの方も混じり、国道171号久世橋の前後が全線で一番賑わっているエリアです。

川沿いには堤防のすぐ脇まで低層の住宅が立ち並び、途切れることはありません。その後、名神高速とアンダーパスすると久我橋に到着。
一旦進路を東にとり、西高瀬川、鴨川を相次いで渡り、今度は鴨川の東岸を南下します。

■久我橋から淀

久我橋以南は少し畑作地帯がありますが、またすぐ住宅地密集地に変わります。
鴨川に沿って南下していくと、瀬戸大橋のような2層構造の大きな橋が見えてきます。
外環状線に架かる「羽束師(はづかし)橋」で、上が車道、下が自転車歩行者専用道です。
橋の少し上流では桂川と鴨川が合流していますが、この辺りは昔は舟運の拠点「草津湊」と呼ばれ、官吏や貴族たちが船に乗り換える交通の要衝でした。

一段と川幅が増した桂川に沿って進んで行くと、ずっと右側に見えていた西山連峰が途切れている様子が目に入ります。
そこが天下分け目の天王山で、終点の「淀」が近づいてきた証です。

宮前橋を過ぎると、堤防上からは淀城跡の木立も見えます。
また、家並みが途切れ、工場や新しいマンションが目立つようになります。
このあたりは京都市域の最南端に当たりますが、平地の少ない京都、都市化の波はもうここまで押し寄せているのですね。

さらに進んで京滋バイパスの巨大な高架橋・天王山大橋をくぐると、宇治川との合流点の三角州を回り込んで「御幸橋」に到着です。

御幸橋は宇治川と木津川を相次いで渡りますが、ちょうど中間の中洲のようなところに「さくらであい館」があります。
ここに展望台があり、西側に天王山と男山に阻まれ、桂川、宇治川、木津川の三川が合流する様子を観察できます。
ここの先で川の名が変わり、大阪湾に注ぐまでの間が「淀川」です。
ほぼすべてが大阪府下を流れるこの川の名は、京都の地名から取られているのです。

また、東側に広がる平原は、かつての巨椋池跡の干拓地です。

さくらであい館の建つ宇治川と木津川に挟まれた堤防は「背割堤(せわりづつみ)」と呼ばれ、京都府内でも屈指の桜の名所となっています。
思えば、桂川サイクリングロードは、起点の嵐山から、道中も含め終点まで、一貫して桜に彩られた道でもあります。

■その先へ

桂川と桂川サイクリングロードの終点は「淀」ですが、ここからは木津川を遡る木津川サイクリングロードが始まります。
この道を進むと、約25km先の木津駅付近で進路を南に変え、奈良県境を越えたところで、奈良県が整備する大和青垣吉野川自転車道線に接続します。

さらに奈良盆地を縦断し、橿原市や大淀町を経由して吉野川に合流すると、進路を西へ。
ここからは和歌山県が整備する紀の川自転車道線に繋がり、紀の川に沿って下ると、最終的には和歌山市の和歌山港に到達します。

こうして、渡月橋から和歌山港まで、総延長180kmにもおよぶサイクリングロードが続いているという驚きの事実。
整備主体の1府2県では、これを一本にまとめて「京奈和自転車道」と呼んでいます。

「京奈和自動車道」があるのは知っていましたが、まさか自転車道もあるとはね……。
にわかに信じがたいのですが、息子とビワイチ(琵琶湖一周)ができたら次の目標はこれかと、食指を伸ばしております。

京都市内にはレンタサイクルの店もたくさんあります。
桜舞い散る桂川サイクリングロード、そして大スケールの京奈和自転車道、ぜひチャレンジしてみてください。