教育資金の一括贈与の非課税制度
- 2020年12月14日
- カテゴリ:税務情報レポート
12月に入りますと、お客様からは年末調整と贈与に関するご質問が多くなります。
贈与については、贈与税の特例が使える期間や「今年中に贈与をしたい」の気持から、この時期にご質問が増えるようです。
今月は制度として少しややこしい教育資金の一括贈与の非課税制度について紹介させて頂きますのでご参考にして下さい。
1.一般的な贈与の有効活用
贈与は自分の財産を自分以外の者に無償であげることで、そこには何かしらの目的や理由があるはずですので、下記の事項を考慮して、贈与する相手と贈与する物を選別されることをお勧めします。
- 相続税対策なのか争族対策なのか
相続税を節税する、あるいは納税資金の確保の為に生前贈与する場合と、将来の親族間での争いを避けるために財産分与という形で生前に贈与する場合とでは、受贈者も方法も違います。 - 年間110万円非課税の暦年課税贈与と相続時精算課税贈与とは制度が違う
「年間110万円までの贈与なら贈与税はかからない」と言うことは多くの方が御承知だろうと思います。
また、2,500万円まで無税という相続時精算課税制度の利用も最近は増えてきました。
注意して頂きたいのは、一度相続時精算課税制度を利用すると、110万円の暦年課税贈与は使えないと言うことです。
2.教育資金の一括贈与の非課税制度
<1>制度の概要
◆期間
平成25年4月1日~令和3年3月31日
◆対象者
受贈者は30歳未満の子又は孫、贈与者は直系尊属(父母、祖父母)
平成31年4月1日以降は前年合計所得金額1,000万円以下の受贈者に限る
◆贈与財産
受贈者(子や孫)の教育資金に充てるための金銭。
◆非課税額
受贈者1人につき1,500万円(学校等以外は500万円)。
◎教育資金を直接、子や孫へ渡すのではなく、銀行へ預け入れ、又は信託銀行等へ信託し、銀行や信託銀行から学校の授業料などを支払う仕組みになっています。
<2>教育資金とは
- 学校等に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。
入学金、授業料、入園料、保育料、施設整備費または入学試験の検定料など学用品の購入費、修学旅行費や給食費など学校教育に伴う必要費用など - 学校等以外の者に対して直接支払われるもの
学習塾など教育に関するもの、スポーツ又は文化芸術に関するもの
★23歳以上の受贈者のスポーツ、文化芸術に関するものうち一定の費用には適用がありません。
<3>教育資金口座の開設
この非課税制度の適用を受けるためには、金融機関にて教育資金口座を開設します。
<4>贈与税
教育資金口座にかかる契約が終了した場合、例えば受贈者が30歳に達した場合に、教育資金口座に残額(非課税拠出額-教育資金支出額)があるときは、その残額は贈与税の対象となります。
<5>相続税
契約期間中に贈与者が死亡した場合において、その死亡の前3年以内に、平成31年4月1日以後この非課税制度の適用を受けていた時は、管理残額(教育資金口座の残額で一定の計算をする)は、相続税の対象となります。
但し、受贈者が次に該当する場合を除きます。
- 23歳未満である場合
- 学校等に在学している場合
- 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合
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