弥生会計、弥生販売他の消費税率変更について

弥生をはじめとする、国内で流通する主要な小規模・零細企業向け会計・販売管理ソフトの一部には、2017年4月以降の日付で伝票を入力すると、消費税率10%が自動適用される機能が搭載されています。

この、「税率自動判定機能」が作動するXデーを、ついに明日、迎えます。

「消費税が勝手に10%になる!」「どこを直せば8%になるのかわからない!」「設定画面はないのか!?」というお問い合わせが増えることが想定されますので、先に解説記事をアップします。

本題の前に、先に状況の理解から、お付き合い下さい。
事の経緯は、2017年4月に予定されていた消費税10%改正が、安倍総理の声明で急きょ2019年10月まで延期されたことに起因します。

一連の消費税改正法案が閣議決定された当初、税率は2段階であげられることになっておりました。

(1)2012年8月に成立した、当初法案では下記の通り。
 2014年4月1日 8%
 2015年10月1日 10%
(2)これが、2016年6月に再延期発表となります。
 経済状況などを勘案して判断する予定という、条項を生かしたものです。
 2017年4月1日 10%
(3)しかし、伊勢志摩サミット直後、2016年6月に再延期発表となります。
 2019年10月1日 10%(軽減税率実施)

この間、業務ソフト側も連動してバージョンアップが繰り返されてきました。

今回問題となるのは、2016年夏以前に購入された税率自動判定機能が搭載された製品(厳密には、店頭在庫の兼ね合いでそれ以降に購入した製品も含まれる可能性有り)のうち、現在まで修正プログラムの適用が行われていない製品です。

当然、入力画面上、明細または伝票単位で8%へ選択し直すことはできますが、いちいち修正を加えるのは面倒です。
この「税率自動判定機能」を解除するために、修正プログラムの適用が必要となるわけですが、この対象ユーザーの線引きについて、不満の声が多く聞かれています。

なお、多くのメーカーで消費税率を自分で変えられるようになっておりません。
この点、3%→5%改正時は、多くのソフトでユーザー側の手動設定ができたため、金儲け主義という批判が集まっています。

厳密には、どうしても税率改定に為にプログラム開発コストがかかることから、その回収を考えなければならないことの他に、経過措置対応や売上計上基準による設定ミスなどを厳格に防ぐため、自動判定機能で精度を上げている、というのが業界側の言い分です。

慣れた方からすると、税率自動判定など「おせっかい機能」ではあるものが、零細企業向けという客層を考えるとユーザー間のスキルや経験のばらつきも多くあり、搭載することが無難とも考えられ、同情できるところがあります。

弥生

※対象製品
弥生会計、弥生販売、やよいの青色申告の各バージョン14、15、16

最新版17、消費税8%対応版以前の製品(13以前)、オンライン版を除く
詳細(メーカー公式)

現時点では、有償サポート加入~更新プログラム入手・適用で税率判定機能の解除が可能です。
弥生会計や弥生販売の消費税について、自力で全体の税率を変更することや、設定、編集などの機能はありません。

この対応について評判がすこぶる悪く、弊社にも多くの苦情が寄せられています。
「税率変更こそ延期になったし、その責任は弥生にはないが、改修負担をユーザーに帰すのは筋違い」
という意見が多いです。

かねてから、保守加入の勧誘がうるさいとか、あんしん保守サポート登録の為にカードや口座情報を預けるのは気が進まない、という評判が目立つ中で、ユーザー側にもフラストレーションがたまっていた折、今回の対応は少々露骨に映ってしまったようです。

freeeやマネーフォワードなど、クラウド会計ソフトへの対抗上、オンラインで利用する形態への転換が進み、保守料金の負担を「標準利用形態」としたい意図が前面に出ていますが、そんなベンダーの事情に迎合する気はない、昔からのユーザーさんから不満が出ている印象を受けます。

ソリマチ

※対象製品
会計王、販売王、みんなの青色申告の各バージョン15、16、17

最新版18、消費税8%対応版以前の製品(14以前)を除く
詳細(メーカー公式)

「15シリーズ」以降の製品をお持ちの方向けに、無償で修正プログラム配信中。
保守加入が要件ではないため、製品を所持しているすべてのユーザーが無償で税率判定機能の解除可能。

余談ですが、ソリマチはバージョンアップ版販売の際に、旧製品のデータ移行に制約を設けていないことも特筆されます。
結構古いソフトからでも、データ移行をサポートしており、保守料を節約したいユーザーからの評判は高いですし、ランニングコストも抑えられます(というか、自分で選択ができるのは良いですね。保守加入にあたり、弥生のようにクレジットカード番号の登録や、口座振替の強制もありません)。

一方で、クラウド版への対応は遅れています。
対応している税理士も弥生ほど多くありません。

ミロク情報サービス(MJS)

※対象製品
かんたん会計、かんたん法人会計、かんたん青色申告、かんたん販売仕入の各バージョン8、9、10

10シリーズのうちバージョン10.0.001.0以降、最新バージョン(11)、消費税8%対応Ver.以前の製品を除く
詳細(メーカー公式)

状況としては弥生に近いです。
自力解除不可、保守加入ユーザーにのみ最新版を送付し、税率判定機能の解除が可能。

機能面では充実しているものの、ソフト価格、保守料ともに弥生よりも安価なので、これを機にランニングコストの観点から移るユーザーも見えます。

ただ、弥生のインターフェースよりは若干とっつきにくい印象を受けます。処理スペック面では弥生のプロ級の機能がスタンダードレベルの価格で売られている印象です。

BSL

※対象製品
「らくだ7.5」「かるがるできる5.5」「青色申告2015/2016」各シリーズ

最新版「らくだ8」「かるがるできる6」「青色申告2017」各シリーズは既に対応済み
詳細(メーカー公式)

現時点では、無償で配布されているバージョンアッププログラム「10%消費税機能停止版(Rev.6.00)」の適用で、税率判定機能の解除が可能です。
メインメニューの「サポート」タブ内の「アップデート」アイコンをクリックすると、アップデートできます。

当初は、弥生同様、最新版への移行を対応条件としておりましたが、方針を転換しました。
上記以外の旧バージョン(発売終了製品)には、税率判定機能を搭載していません。

freee、マネーフォワード

クラウド会計ソフトと言われる両社は、アップデートが自動的に適用されますので、常時最新バージョンを利用していることになります。
したがって、ソフトの機能と法令の時差はベンダー側が勝手に埋めてくれるので、「ユーザーは気にしなくていい要素」となります。

今回の消費税税率改正延期や、自動判定機能も然り。

ただし、クラウド会計ソフトは、使い続ける限り常に利用料金がかかります。
従来のパッケージソフトの保守料金のように、ユーザー側が「課金の有無」を選択する余地はありません。
実は、同じ弥生でも、クラウド版の「弥生の青色申告オンライン」「弥生会計オンライン」は、freee同様の考え方・課金モデルです。
 
 


 

なぜ、弥生はこんなことをするのか

会計ソフトをはじめとする、業務ソフトの「クラウド化」の流れが挙げられます。
皆さんもご存じ、会計ソフトベンチャーのfreee、マネーフォワード(MF)はサブスクリプションモデル※の課金体制を敷いています。

サブスクリプションとは?
サブスクリプション契約とは、主にソフトウェアのライセンス契約の方式で、売買ではなく特定期間内の使用権を販売する方式のことである。
(出典)Webblio辞書

最初のごく短い間は無料だけれど、明細データを保持し続けたり、年間通じて利用しようと思うと、月額料金の支払いが必要です。

近年は、ソフトウェアやサービスがインターネットを介して利用できる場面が増えています。クラウド化、SaaSなどと言われる潮流です。
こうした背景から、パッケージソフトメーカーののビジネスモデルも変わりつつあります。

従来のパッケージソフトのモデル

典型的な成長市場の戦略です。
(1)とにかく量を売ってシェアをとる
(2)新規販売のみでビジネスが回る(一度の取引で十分な収益が得られる)
  数年に一度の買い替え需要を取る
  電話サポートやサプライ品などのストック収益で補う

最近(今後)のクラウド時代のモデル

成熟市場の戦略です。
(1)顧客ロイヤリティを高め、ストック収入を得る
(2)提供サービスを充実させ、離脱を防ぐ
  サブスクリプション、利用料収入(定額利用料をコンスタントに課金する)
  ソフトを買うのではなく、(データベース領域も併せて)借りる
  流通コストのかかる量販店チャネルの箱売り、サプライ品への依存度を下げる

長期的には、こうした流れが進んでいくと思われます。

弥生の保守料金は、まさにサブスクリプション。
弥生会計を「買ってきて所有する」という考えではなく「一定期間借りて使う」という捉え方に、変えていきたいんですね。
それは、即ち、数年の後にすべての弥生ユーザーを今の「弥生会計オンライン」の利用形態へ移行させようという目算だと思います(完全には難しくとも、そちらが主、パソコンにインストールして使うのが従という考え方には、間違いなくなります)。

クラウド化にも、メリットはさまざまにあります。

流行りの「フィンテック」の文脈で、弥生のスマートコネクトを介せば、銀行の取引データがダイレクトに仕訳として反映されるとか、さらにそれをAIで解析して、システムに予測仕訳させてしまうとか、「働き方改革」の文脈で、入力作業や集計表の閲覧を在宅ワークでできるようにしてしまうとか、、、
オンライン化で到達できる次世代の経理の世界の輪郭を、freee、MF、そして弥生は、鮮やかに描き出して見せています(それを実現するための、それなりの投資を行うための財務的な手当としてサブスクリプションに頼るのは、確かに効率のいい稼ぎ方ではあります)。

しかし、ユーザーの側がそれを望んでいるか、咀嚼し、共感し、渇望しているかというと、これまた疑問符が付く状況もあります。
そんな先進的な仕組みや利用形態より先に、目先のコスト優先!という会社様もあって当然で(どちらかというと、その方が多数派)、そういう意味で、弥生は贅沢な(それ相応に高機能で、維持にカネのかかる)ソフトになったのだ、とも言えます。

もちろん、実際に消費税率変更プログラムを解除したいという意向でコールセンターにあたれば、一担当者がここまでの話を熱く語ってくれるはずもなく、もちろんお客様側に聞く耳を持っていただけないことも多いわけで、冒頭にあったように喧嘩別れで「他社製品に乗り換えだ!」と弊社にやってくるお客様も多く見えます。

何が正解、というのは、ありません。

弥生、ソリマチ、MJS、freee、MF、BSL、全部民間企業です。
それぞれに、それぞれの良さも悪さも戦略もあります。
将来の展望も、生き残りの方策も、経営の方向性もあります。
御社の考えと、懐事情に応じて、納得のいく選択をなさっていたくのが一番です。

そのための情報提供や相談などは、我々販売店にお手伝いさせていただければと思います。

 
ミモザ情報システム
075-595-2526
http://www.mimosa.gr.jp/

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