労災保険のルールが変わりました

働き方改革の一環として政府が副業・兼業の解禁を進めています。
それに伴い、労働関係の法律も制度変更を余儀なくされており、労災保険においても副業される方についての制度変更がなされました。

今回はこの点について取り上げさせていただきます。

1.従来の労災保険について

労災保険は、業務が原因で病気や怪我をし、又は通勤帰宅途中に怪我をした場合に、治療費や休業中の賃金の補償を政府がしてくれる制度です。

2か所以上で勤務している労働者(以下「複数就業者」)については、病気や怪我をした事業所での賃金額をもとに休業補償されることになっており、もう1か所の事業所での賃金額は休業補償に反映されません。

2.改正内容その1(複数就業者の扱いについて)

複数就業者とは、2か所以上掛け持ちで働く労働者のことをいいます。
従来は複数就業者が労災に遭い休業したときは、労災に遭った会社からもらう賃金額のみをもとに休業補償を算出していました。

【事例】A社:月給20万円、B社:月給10万円

この場合、B社で労災に遭った場合、10万円をもとに休業補償額を算出することになり、月8万円くらいしかありませんでした。
しかし、今般この不合理が改正され、トータルの30万円をもとに休業補償額を算出することになり、月24万円くらいの休業補償額となりました。
つまり、所得補償という本来あるべき姿に近づいたわけです。

3.改正内容その2(複数業務要因災害について)

複数就業者が怪我をした場合は、その会社での仕事が原因であるとはっきり分かります。しかし、病気の場合はいろいろな要因が考えられます。

例えば、A社の仕事やB社の仕事単独では病気にならなかったが、A社とB社の仕事をかけ持ったがために長時間労働となり病気になったということも考えられます。

具体的に、A社で週に30時間労働し、B社でも週に30時間労働した場合、各社における労働時間は多くはありませんが、両方合わせたら週60時間になり、月の時間外労働が80時間超となります。
2か月以上続けば過労死基準を超えることになります。

この場合、過労で倒れたとしても、従来は長時間労働による労災とは認められませんでしたが、今般この不合理が改正され、複数業務要因災害ということで労災と認められるようになりました。

4.施行日

複数就業者の労災に関する改正は、令和2年9月1日から施行されております。

5.まとめ

1人の労働者が複数の会社で労働することが大手企業でも始まりつつあります。
それに伴い、就業規則の変更や労務管理体制のあり方も見直さなければならない時期に来ていると思われます。

コロナ対策のテレワークも含め、各企業さまにおかれましては、労働者の雇用管理につき今まで以上に意識していただく必要があるように思います。

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