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京都とツツジ

4月と言えば桜の話題ですが、コラムの配信が中旬であるため、散ってしまいます。そこで、今回はこれまで取り上げてこなかった「ツツジ」について。

身近にありふれたツツジですが、それゆえ桜のように注目を集めません。
しかし、初夏を代表する花であり、この時期の京都の見どころの一つです。

■ツツジについて

ツツジは、ツツジ科の植物で、主にアジアに分布し、ネパールでは国花とされています。花言葉は「節度」と「慎み」。

東アジアが原産地であり、日本でも古来から咲き、親しまれてきました。

京都を含めた日本中、街中のいたるところに植えられ、幼少の頃は漏斗状の花を摘んで、先端から蜜を吸った記憶のある方もいらっしゃるでしょう。

ただ、一部のツツジには毒があり、多量に摂取すると嘔吐やけいれんを引き起こします。
毒のある種とそうでない種は簡単には見分けられないため、安全のためには、やらない方が良いとのことです。
(子供にやって見せたら、妻に叱られました)

ツツジの花は同じく5月頃に咲くサツキやシャクナゲともよく似ていますが、学術的には異なる種とされています。

サツキは開花時期が少し遅くて5月から6月にかけて、咲くときも一斉にではなく、少しずつ咲いていきます。

シャクナゲは、時期こそ重なりますが、5〜10輪以上がまとまって咲きます。花びらの形も、フリルが付いているようで異なるので、近付けば分かりやすいです。

また、この時期に咲くアザレアは、ツツジがルーツで、ヨーロッパで交配されたものが日本に逆輸入されてきた花です。

■ツツジの名所

ツツジは、桜によく似て、咲くときは一斉に咲きます。
辺り一面をピンクや紫の花の色に染め、景色を一変させる力があります。

ニュースやSNSでは桜ほど取り上げられませんが、それだけにゆっくり見られるのも好都合です。京都近郊にも、わざわざ見に行きたいツツジの名所が数多くあります。

・蹴上(けあげ)浄水場
私の通勤(自転車で通っています)経路上ですが、三条通りを東へ進み、蹴上の坂を登っている途中、西側に蹴上浄水場があります。

この浄水場は、以前このコラムでも取り上げた「琵琶湖疎水」の京都側の拠点で、第二疎水を流れてきた琵琶湖の水を処理し、水道水として市内に配水しています。
施設は山を切り開いて作ってあるため、敷地の南側が急な斜面になっており、そこにツツジの木が6,000本以上植えられています。ゴールデンウィークの頃には、辺り一面、ツツジの花の色で染まります。

コロナ禍前は、水道局主催で一般公開のイベントも開かれていました。
普段は非公開の浄水場の敷地の中を散歩しながら、明治期に建てられた建物を見学したり、できたての水道水を飲めたりと、恒例行事となって定着しつつありましたが、残念ながら中止が続いています。
折しも財政難の京都市。予算緊縮のためにイベントの縮小を打ち出しており、復活は難しいかもしれません。
とは言え、敷地の中に入らずとも、三条通り沿いから充分に観察できます。

今月初め、蹴上インクラインの桜の下で多くの方が満員電車並みの密集度合いで写真を撮られていましたが、1ヶ月経たないうちに同じ「蹴上」で、素晴らしい光景が見られることを知って欲しい!

・西明寺(さいみょうじ)の裏山
4月半ば頃に高雄を訪ねると、バス停を降りた先、清滝川を挟んで反対側の山にミツバツツジの群生が一面に咲き誇っています。
このあたりは道路が山の斜面の高い位置を通っているので、見下ろす深い谷底のあたりから山の上の方まで、視界一面が赤紫の花で覆われ、まさに絶景です。

ちなみに、西明寺のお庭からは見えませんので、国道162号線沿いの空き地(以前の市バスの反転地)から眺めるのが一番です。
私にとっては京北方面へ向かうサイクリングルートの通過点ですが、あまりにも綺麗で、足が止まります。

ツツジ群落として大規模ながらあまり紹介されないのは、険しい山道の途中で、運転中に気付けないからでしょうか?
あるいは、積極的にPRして、道路が混雑しても困るので、あえて知る人ぞ知るスポットに留めているのかもしれません。

・神泉苑(しんせんえん)
市内中心に位置する神泉苑。
御池通りの名の由来にもなった庭園で、祇園祭にもゆかりがあります。
池のある庭園は広く、都市の中にあってオアシスのような存在ですが、昔は今よりもっと広大で、付近の住所「池ノ内町」はすっぽり池の中、今の二条城の敷地でさえ、神泉苑の一部だったそうです。
この時期、池のほとりにはツツジが咲き誇り、水面に反射する朱塗りの太鼓橋とともに、たいへん写真映えします。
モネの睡蓮とは似ても似つかぬ、しかし負けず劣らず、東洋らしいビビッドな色彩の庭園美に惹かれて、カメラを構えた観光客で終日にぎわっています。

・三室戸寺
宇治の名刹。
過去にアジサイの話題で触れたことがありますが、ツツジも有名です。
関西のツツジ鑑賞スポットとしては、必ず取り上げられます。
三室戸寺はすっかり「花の寺」として有名になっていますが、なんというか、狙ってそうしているので、ほとんど植物園を経営されているかのようですね(お庭は近年の造営です)。
ツツジ園のスケールは2万本。蹴上でも「うわぁ~!」と思いますから、ここで出てくる感嘆詞は「うおぉ~~~!!」です。

・長岡天満宮
京都河原町から阪急電車の特急に乗ると、途中で「長岡天神」という駅に止まります。
長岡京市の中心駅ですが、駅名の「天神さん」こそが、長岡天満宮です。

この辺りは京都大阪のベッドタウンなので、目的地として行く方はあまり多くない地域ですが、京都市内中心部の喧騒とは無縁でありながらも、由緒正しい寺社の数々を擁している、まさに京都観光の穴場。

そんな長岡京について詳しくは改めて取り上げるとして、長岡天満宮と言えば、赤いキリシマツツジです。近隣では知名度もあり、市の天然記念物にも指定されています。

江戸期に作られた八条ヶ池の水面に映える深紅のツツジが見頃となるのはちょうど今の時期からゴールデンウィーク前にかけて。
深紅の花と周囲の新緑とのコントラストが印象に残ります。

ツツジは他にも、天龍寺や大覚寺、西本願寺の前など、そもそも寺社内だけでなく、街路や公園など、市内各所で見ることができます。

桜の時期にピークを迎えた観光シーズンも若干落ち着く今日この頃。
心地よい風に吹かれながら、抜けるような青空とまぶしい緑、そしてツツジをはじめとする初夏の花々に彩られた京都を、歩いてみてください。

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