京都と雪

この冬は雪が多く、京都市内でも積雪が3度、観測されました。
一度も積もらない年もあることを思うと、相当のハイペースです。

特に1月21日は明け方頃からみるみる積もり、午前9時には14cmを記録しました。
市内の雪は大抵気温が下がる夜明けに向けて降り積もり、日の出とともに消えていくパターンが多いため、このような経過は稀で大変驚きました。
10cmを越える積雪記録も5年ぶりです。

観光ガイドの写真では「京都の社寺と雪景色」の構図をよく見かける一方、実際にこれだけ積もることは珍しいのです。

■雪の日の京都

さて、京都の町は南北で大きな標高差があることはご存知でしょうか。
高校駅伝や全国女子駅伝のテレビ中継を見ていると、決まって西京極の競技場から西大路通りに入るとずっと登り坂が続く様子が紹介されます。この西大路通りを登り詰めた辺りにある、金閣寺の標高が97m。

よく市民の間で、北大路通は京都タワーくらいの高さ(131m)などと言われますが、さすがにそれほどではないです。
しかし、展望室(100m)のちょい下くらいの高さは、確かにあるんですね!
今度京都駅に降り立ったら、見上げてみてください。

そんなわけで、北高南低の京都の街では、雪の降り方にもずいぶん差がありす。
雪の積もった朝、北の方(特に今出川通りよりも北)から来る人は、学校や職場で「雪どないやった?」と必ず聞かれます。

アメダスで観測され、ニュースで読み上げられる京都市の積雪情報は、JR円町駅近くの京都地方気象台での数値です。標高40m程度の円町で10cmなら、金閣寺とか、上賀茂神社のあたりは、まぁすごいことになっています。大原や鞍馬、高雄なら、倍以上積もります。

雪の日の朝、京都盆地の北のほうから来るクルマやバスの屋根に、雪がどっさり載っている様子をチェックして密かに楽しんでいる市民は、結構いるのではないかと思います。

さて、雪が積もった日の朝の京都で、決まって聞こえる音があります。
それは「報道ヘリコプターの音」。
このヘリの音で起こされ、まさか積雪かっ?と気が付くこともあります。雪景色は絵になるので、ニュースで取り上げられやすいですよね。

ただ、それは上空からだけの話ではなく、地上も同じです。
雪が積もると、有名な寺社では驚くほど人出が増えます。
極寒の金閣寺、銀閣寺に、カメラを抱えた老若男女が大挙して押し寄せる光景に「わざわざこんな寒い日に…」と、笑えてしまいます。貴船へ向かう叡山電車も大混雑。

ま、かく言う私自身も、現地へ見に行ったからこそ、そんなことが言えるのですが(苦笑)。普段から京都に住んでいる人間も、雪が積もるのは珍しいので、やはりちょっと心が躍るのです。

■京都に雪を降らせる気象条件

京都は、前述のとおり、もともと雪の多い土地ではありません。
雪が積もることは稀で、10cm越えともなると、数年に1度以下の確率です。では、なぜ降るのかということで、今年はちょっと面白い単語に注目が集まりました。
「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」、日本海で北寄りの風と西寄りの風が集まって雪雲が発達する帯状のエリアです。

・若狭湾から京都府下にかけてJPCZができる
・風向きが真北からになる
・寒気が流れ込み、気温が上らない

この3条件を満たすと、
・京都の北側、丹波高地上で雪雲が消えず京都盆地まで流れ込み
・市内に積雪をもたらす

結果となるようで、1月14日の積雪については、数日前から気象台は盛んに積雪のおそれありと注意喚起し、見事予報を的中させています。
JPCZの範囲や向きが少しでもずれると、大雪のエリアは大きく変わり、彦根や米原など滋賀県北部や福井県等でドカ雪になります。

しかしながら、同22日は予想外で、大雪警報も後追いで出されました。
なかなかどうして「積雪の京都」を狙いすまして訪ねるのは、ことのほか難しいようです。

なお、大阪は京都よりはるかに雪が少ないですが、積もらないだけで風花が舞うことはあります。これも、日本海側の雪雲が流れてくることが発端です。

翻って、関東平野に雪を降らすのは、決まって「南岸低気圧」。
これは、太平洋上を東へと進む低気圧に北からの寒気が合わさって、低緯度でも大雪になるパターンです。

京阪神の雪と関東平野の雪は、それぞれ全く異なるメカニズムによってもたらされるというのは、興味深いところです。

■出会いやすい?京都の雪景色

そもそも「金閣寺や清水寺の雪景色」は、ハードルが高いです。
市内でも京都盆地の中は、積もっても溶けるのが早く、仮に10cm程度積もったとしても、昼には無くなってしまいます。運勝負なのです。
そこで、郊外を目指すことで、より高い確率でガイドブックのような冬景色に出会うことができます。

一つ注意したいのは、冬の京都にマイカーで来ないこと。
京都は、決して雪に慣れている地域ではないため、スリップ事故が多発し、危険です。
電車やバスなど公共交通ならば、安全に移動できます。

◇貴船神社>
混む、とは言いましたが、インバウンドの頃や、ピークの夏に比べればかわいいものです。ただ、注意が必要なのは、駅からの足です。
バスは混みますし、1回で乗れないことも多々。足元が悪ければ、歩くわけにもいきません。

貴船では、多数ある料理旅館に予約を入れると、駅までクルマで迎えに来てくれます。

食事のあと、神社にお参りして、もう一度店に寄れば、駅まで送ってくれます。
ランチなら、思いのほかリーズナブルですし、さほど敷居の高いものではありません。是非、気楽にお訪ねください。

なお、貴船神社は冬の間、雪が積もった日だけ夕方からライトアップをします。こんなことをしているのは、京都でも貴船くらいでしょう。

◇大原
「京都、大原、三千院~♪」の大原も、雪の多い場所です。
市内では雪が舞う程度でも、大原まで行けば積もっていることがままあります。雪の庭園など、ずっと見ていられる…と思いたいところですが、防寒対策は抜かりなく!

また、足元も注意したいポイントです。
国道沿いの雪は早く解けますが、一本入った細道や、寺社境内の道などはシャーベット状の雪が残ります。滑らないように、濡れないように、慎重に。
また、調子に乗って「寂光院」など、奥の方を目指さぬように。

◇美山(かやぶきの里)
京都市中心部からは少し離れますが、南丹市美山町の北地区に残る「かやぶきの里」の雪景色は、まるで日本昔話、絵画の世界です。
京都府の、否、日本の冬を代表する冬の景観だと思います。日吉駅から南丹市営バスへ乗り換えて行くことになりますが、雪の多い地域の足。市内のバスと違い、ちょっとやそっとでは止まりません。

美山にはアメダスも設置され、リアルタイムの積雪情報も確認できます。
市内と比べても、日本海に近いことから雪が積もる機会も格段に多いです。ただし、散策するなら、長靴や防水のトレッキングシューズなど、本格的な雪道への備えも必要です。

なお、コロナ前は毎年この時期「雪灯篭」と称して夜間ライトアップもされていました。かやぶき屋根の民宿に泊まって、牡丹鍋とセットで楽しみたいものです。

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