霊場・比叡山へ!

前回・稲荷山からの、今回は比叡山ということで、私の最近の取材・行動範囲が、密を避けるべく「コロナ対応」しているのが丸わかりです。
この傾向、年が変わっても続いてしまいそうなのが気がかりですが、ともあれ、今年はよく歩きました。


さて、京都の町から東にそびえる東山、その北東側にひときわ大きくそびえ立つのが「比叡山」です。
大河ドラマ「麒麟が来る」の11月22日放映回では、案の定、焼き討ちにされてしまいましたが、ドラマが無くても「比叡山と言えば焼き討ち」というイメージは強烈で、本邦の教科書が変わらない限り、それを払拭するのは難しいように思います。

しかし、京都に住む者としては、その姿を毎日見ているだけに、それなりに思い出も、思い入れもある山なのです。

■比叡山の概略

標高848m、東山連峰の中でひときわ高くそびえるその姿は、市内のどこからでもよく見えます。

市内北側、北大路橋あたりから見る比叡山は、シンボリックできれいな三角形ですが、四条大橋のあたりから見ると山頂が2つあり、少しいびつな形をしています。
それぞれ、四明嶽(しめいだけ)と大比叡(だいひえい)と呼ばれ、地図上の山頂・三角点は後者にあります。

平安時代に最澄によって開かれた天台宗の総本山・延暦寺を擁する広大な山域は、高野山と同じく、古くから山岳信仰の対象とされてきました。
1995年には、延暦寺とその境内地である比叡山が丸ごと、ユネスコの世界遺産「古都京都の文化財」として登録されました。

ちなみに、延暦寺の住所は「古都京都の」文化財と言いながら、実は滋賀県大津市である、という事実は、滋賀県の方には有名ですが、京都の人間は、興味がない(嘘です、多分、半分くらいの方は知っています)。

■比叡山の見どころ

と言えば、ズバリ、延暦寺ですが、単に延暦寺と言われても、一体どこのことを言っているのか?というくらい、とにかく広く大きいです。
本堂にあたる「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」のある東塔(とうどう)、法然が修行した黒谷がある西塔(さいとう)、おみくじ発祥の地といわれる四季講堂がある横川(よかわ)の3つのエリアに塔頭が点在しています。

玄関口・坂本ケーブルの延暦寺駅から横川の間は、清水寺から銀閣寺くらい(5-6km)離れており、山中をバスに乗って移動します。

■山内の様子

今でこそ渋い大人の観光地(という言い方にも抵抗がありますが……)の比叡山ですが、2000年前後までは山上に遊園地やスキー場もありました。

現在はどちらも閉鎖され、遊園地の跡地は陶板絵画と四季の花々が楽しめるガーデンミュージアムに再整備されています。
ほかには、ホテルや展望台、小さな公園、レストランが残っています。

これら一連のレジャー施設は、「嵐電」の名で知られる京福電鉄が手がけており、後に京福に京阪電鉄の資本が入ったため、現在は延暦寺を除くと京阪グループが支配する地域といった印象を受けます(どこもかしこも京阪のロゴマーク)。

阪急の六甲山、近鉄の生駒山、南海の高野山、京阪の比叡山といった具合に、関西の電鉄会社は沿線の山を開発するのが本当に好きですね。

■歩いて登れる

現代の比叡山アクセスの主役は、比叡山ドライブウェイを車で登っていくことです。
しかし、道路ができる前は、大津側からの坂本ケーブルが主なルートでした。
今も現役で、2kmを超える路線長は「日本一長いケーブルカー」として知られています。

京都側からは、叡山電車の終点・八瀬から叡山ケーブルとロープウェイの乗り継ぎで四明嶽の山頂近くまで行けます。ここから延暦寺まではまだ遠く、通常さらにバスに乗り継ぎます。
これらの乗り物を全てつなぐと、半日がかりで大津から京都まで抜けられるので、小さなアルペンルートの様相です。

さて、ケーブルカーができる前の比叡山は、当然、誰もが歩いて登っていたわけで、広い山であるが故に、登山ルートはいくつもあります。

京都側からの代表ルートは、修学院離宮の脇から入る「雲母(きらら)坂」で、浄土真宗の開祖・親鸞が9歳(1181年)の出家の時に辿った道と言われています。
一般的な登山道とは趣が異なり、岩石を削った掘割が続く、いかにも古道、といった風情の道が5kmほど続きます。
途中、石碑や女人禁制の結界跡などを経て山頂まで所要2時間半~3時間。

登山道はケーブルカーやロープウェイの駅とも交わるので、天候や疲労の具合によっては途中離脱できるほか、眺望の良い場所も点在しており、ハイキングコースとして人気が高く、親子連れもよく見かけました。
麓の保育園では、なんと遠足で登るそうです。

京都側から登ると、大津側へ抜けない限りは、延暦寺の建物が見えるわけでもなく、なんとなくお寺の境内、といったムードは感じにくいです。

眺望抜群・日当たり良好のレジャー施設に迎えられ、お弁当を食べたら、お参りせずに(遠いので!)降りてくる……。
深山幽谷の霊場というイメージの比叡山も、地元の人間にとっては、すぐそこにあって気軽に登れる、どことなく親しみを抱く存在でもあります。

■きららざか問題

さて、途中「雲母坂」という地名が出てきましたが、どういうわけだか、一部のiPhoneユーザーの方に知られた単語でもあります。

スマホがiPhoneの方は、試しに「設定→一般→キーボード→ユーザー辞書」の順に、開いてみてください。
「か行」に「きららざか」、登録されていませんか?
これは、ちょっとしたバグ(プログラム上の意図せざる不都合)で、多くの端末に、登録した覚えがなくても入っているようです。

もちろん、消しても何も起きないようですが、なぜピンポイントで「雲母坂」なのか、不思議ではあります。
焼き討ちにされた人々の怨霊が……とか、そういう話ではないでしょう。

そういう話ではないでしょう……。

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