ほっこりイルミネーション

この時期の京都と言えば、紅葉のピークが過ぎて落葉が進む頃です。

ちょうど、観光には中途半端なシーズンに入るはずですが、どっこい、近頃の特にアジア諸国の方々の京都熱はすさまじく、もはや閑散期など存在しないと言っても過言ではない様子で、今日もまちなかは訪日観光客でごった返しております。

反対に、喧騒を嫌う日本人観光客は減少傾向です。それも、2016年からの3年連続です。
2019年の最新の統計が出ても、おそらく下げ止まらないでしょう。

もう最近は誰と顔を合わせても
「いやぁ、人多いな」
「ほんまに、どっこも行けへんな」
という会話ばかりしています。

このように、観光客数が受け入れ能力の許容量を超え、さまざまな弊害が出てくる現象を「オーバーツーリズム」と言い、問題になっています。
いまの京都で「ほっこり」を探すのは、なかなか大変です。

さて、気を取り直して。

■ロームのイルミネーション

本当はイルミネーション特集!とか言って、嵐山花灯路なり、京都駅なり、北山なりを取り上げれば良いんでしょうけれど、あまりの混雑で偵察に行くのもままなりません。お許しを。

それに、このコラムは、いち市民、生活者の視点がテーマです(私の中では)。
お客さんとして来る京都と、住んでる人間の京都、その視点のずれを楽しんでいただくのが本懐なわけです。

実際にここ10年以上の間、あちこち見て回ってましたが、京都市内ではロームのイルミネーションが最高にきれいですし、混雑もほどほどで、全体的な雰囲気も良く、お勧めできます。

ロームのイルミネーションに行くには、市内西方の西大路五条交差点を目指します。
五条通りを西に歩くと、最初の信号が佐井通(通称/春日通)です。
この南西角にローム株式会社の本社がありまして、毎年11月下旬になると五条通以南の佐井通りのメタセコイア並木を中心に、壮大にライトアップされます。

これはロームさんの完全なるご厚意、近隣住民に対する奉仕活動なのですが、なかなか力の入ったもので、黄金の街路樹が道の両側からせり出してくる風景は圧巻です。
使っている電球の数は86万。もちろん、京都市内で見られるイルミネーションでは最大級です。

↓2018年の様子(1:55くらいからの、メタセコイヤの並木道が印象的です。)

入場料は特にありません。
いつも、無くて良いんでしょうか、と思わずにはいられません。

■ローム株式会社とは

京都、いや日本を代表する半導体メーカーです。
1958年創業。大規模集積回路(LSI)を、顧客の要望に基づいて生産するビジネスで国内トップシェアを誇ります。
社名の由来は、創業当時の生産品目である抵抗器(Resistor)の頭文字「R」に抵抗値の単位Ω「ohm」を組み合わせたものです。

ただ、製品自体が消費者向けではなく、製品そのものにも企業名やロゴの表示をしないことから、特に京都の方以外には、あまり知られていないかもしれません。

広告、という意味においては、平安神宮近傍にある昔の「京都会館」がリニューアルされるときに、ロームがネーミングライツ(命名権)を取得したため「ロームシアター京都」と名前が変わり、市民の間ではなじみがあります。

ちなみに、以前は「びわ湖毎日マラソン」のゼッケンにも、ロームのロゴが印字されていました。

■京都には、ローム以外にも先端科学分野の大企業が集積

例えば、下記の企業は全て京都が創業の地です。
・京セラ株式会社
・日本電産株式会社
・株式会社村田製作所
・オムロン株式会社
・株式会社島津製作所
・株式会社堀場製作所
・株式会社SCREENホールディングス(大日本スクリーン製造)
・ジーエスユアサ コーポレーション
・ニチコン株式会社

そしてこれら企業の共通項は、事業所向け製品(BtoB)を製造する企業であること、いずれも特定の市場におけるトップシェアを築き上げ、非常に盤石な体制を敷いていることです。

また京セラや日本電産をはじめ、この中の幾つかの企業は、創業50年程度、たった一代で現在の繁栄を築いています。

また、意外かと思われるかもしれませんが、京都経済界を引っ張るのは、宿泊や観光などのサービス業ではなく、ここに挙げた企業をはじめとする「製造業」です。
宝酒造や月桂冠などの食品関係も、広義では製造業ですし、ワコールやグンゼなどの繊維関係も、あの任天堂も、モノづくり産業に他なりません。

伝統工芸に端を発し、多くの職人たちを抱える人的資本の蓄積と、異常に高密度な大学等の研究機関の集積、そして、これも意外に感じられるかもしれませんが、ベンチャー精神の強い京都企業群のもつ文化的背景が、多くの世界的企業発展の土壌となったように言われます。

このあたりはまた、稿を改めて。

■最近の様子

さて、そんな典型的な?京都企業、ロームさんの立地地域への還元施策として位置づけられる「ロームのイルミネーション」。

さすがに年を重ねるごとに有名になり、訪れる人も増えてきました。
以前は、関西ウォーカーなどの雑誌にも取り上げられましたし、今では関西地区のイルミネーションランキングサイト等でも上位の常連です。
それでも、今のところ外国人観光客は少ないように思います。

ただし、民間の一企業のイベントですので、業績が悪ければ中止になります。
最近でも、2012~13年は開催しませんでした。
いつもやってるとは限らない、いつまでやるとも限らない。
だからこそ、見ておく価値があるようにも思います。

■10年前の様子

今でこそイルミネーション目当ての車が周辺道路に渋滞を引き起こし、なにやら冬の京都の風物詩のように勝手に祭り上げられてしまった感がありますが、ひと昔前は知る人ぞ知る、といった風情で、近隣の住民が犬連れて散歩しに来たり、ライトアップにより明るくなった公園で子供たちが遊んだり、警備員も殆どいなかったりと、のんびりしたものでした。

何より皆さん、今ほど必死に写真、撮りませんでしたよね。
インスタもなかったし、ガラケーのカメラは暗すぎて、夜になると使いものにならなかったですし。

以前、私はこの近所に住んでいたため、よく消灯時間前後に自転車で通りかかりました。
当社に転職する前の話ですが、残業を終え空腹に耐えながら五条通の信号待ちをしている最中、しばし温かい光に包まれ、非日常感に浸れたものでした。
イルミネーション点いてる時間に帰って来れた~!今日は早かった!と、ほっこりするわけです。

ま、22時丁度で「ぶちっ」と切れるんですけど。
点灯は皆、見に来ますやん。
夕暮れ時、残照の中ぱっと灯るのは綺麗ですやん。
カップル同士で、見ず知らずの人同士で、おぉ~とか言うて。

でも、消えるのは、誰も見てないんですね。
イルミネーション、消えて残るはただの闇。
いや、ロームはんは悪くない。
そんな時間まで仕事してるのがあかんねん。
泣きそうになるわ。

今となっては、それも良い思い出です。
そんな一人ひとりの人生をも照らし彩る、ロームのイルミネーションです。

このまばゆいばかりの光の陰に、ロームの沢山のエンジニアさんをはじめ、多くの社員さん達の汗と涙と情熱があることを、忘れないようにしたいものです。

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