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京都と大根

先週末は、大根(だいこ)だきのニュースが流れ、いよいよ年の瀬やなぁ、という感じのする京都です。
「だいこんだき」ではなく「だいこだき」と読むのが独特ですね。
京都では昔、大根のことを「おだい」と呼んでいたようで、その名残でしょうか。

大根だき

千本釈迦堂での行事が有名ですが、市内には他にも大根だきを振舞う寺があります。
振舞う、と言ってもお接待ではないので、お供えをします。一杯1,000円と相場(?)が決まっております。
でっかい大根とお揚げさんが2~3切れずつ。
温まります。はふはふです。

ただ、人出がすごいです。
こんなところやSNSやらで、有象無象の一般人が、俺は食ったがお前はどうだなどと京都通のマウンティング合戦に興じているせいか。
と思いつつ、客層は圧倒的に中高年の皆様なので、それは違うでしょうね。

それにしても、チケット(正確には、お箸?)を買う行列もすごいし、席についても落ち着いて食べられない。というか、席に着けない。そういうわけで、テイクアウトも可能であり、マイ鍋持参の地元民も見えたりします。
しかし、まぁ、なんでこんなに人が、と思ったら、団体バスが立ち寄っていらしたようで、恐るべし。遠方からわざわざこの大根を食べに来るんですか、そうですか…。

なお、こういう中高年の方が集まる伝統行事に、取材がてら子連れで出向くと目立つのか、高い確率でNHKに逆取材され、夕方のニュースに露出し、翌日町内でネタにされます。

そもそも何で大根だき?

いろいろと説があるのはいつものことですが、タイミング的には成道会(じょうどうえ)、即ち、お釈迦様が菩提樹の下で悟り開いた12月8日の法要と関係が深そうです。

千本釈迦堂では、成道会の法要の際、大根の切り口に釈迦の梵字を書いて供え、参詣者への「悪魔除け」とする習わしがありましたが、後にこの悪魔除けの大根と一緒に炊き上げた沢山の大根を参詣者に振る舞うようになったのが事のはじまりとされています。

うーん。関係があるとは言え、深いのか?浅いのか?
ともあれ、大根はビタミン豊富で身体にも良いし、健康祈願、病気除けの意味合いも込めて、長きにわたり親しまれてきた行事であることは間違いありません。

ちなみに、釈迦堂の境内にカラメルで梵字が書かれ積まれている丸い大根は、京野菜として有名な「聖護院大根」です。
ただし、実際に振る舞われているものの多くは青首大根のようです。
たった2日間で何千本と消費するほど膨大な量で、とても足りないのだとか。

聖護院大根

丸くて蕪のようなシルエットながら、直径20cm、重さ4kg以上にもなる明らかに大きなこの大根は、美しい白い肌と肉質の緻密さが特徴で、長時間煮込んでも崩れにくく、柔らかく味染みが良いときて、大根だきにはうってつけの大根です。

「聖護院」の名がありますが、現在も左京区の聖護院周辺が産地、というわけではありません。
元は聖護院近傍の農家が、愛知県から持ち込んだ立派な大根を育てようと四苦八苦しているうちに、丸くて美味しくなったたため、品種として固定したことからそう呼ばれるようになったのだそうです。

丸型の大根は耕土が浅くても育つことから珍重され、後に聖護院地域から南部の淀や久御山など、京都近郊各地に広がりました。
反対に、聖護院地域は都市化が進み、畑はほとんど見られなくなっています。

現在、聖護院大根は、亀岡市の篠町、京都市内から国道9号線山陰道を西進し、老ノ坂峠を越えた先にある畑作地帯が主産地です。
京野菜の定義はいろいろありますが、特に聖護院大根は賀茂なすや京壬生菜などと共に「ブランド指定」されている主要な13品目に含まれ、市場に出回る京都府産のそれは、高い品質を誇ります。
価格も高いですけど。

一方、聖護院大根の名と丸い形は広く知れ渡り、最近では丸大根全般を指してそう呼ばれるようになってきています。

京都の大根あれこれ

京都は伝統野菜の種類が豊富で、聖護院大根のほかに、青味大根、桃山大根などいくつかの地大根があります。

いずれも、現在は漬物需要の減退などから栽培農家が激減し、もっぱら京都市が種の保存のために数軒の農家に委託して栽培してもらっているようです。

その中でも「辛味大根」には独特の存在感があります。

現在、北区鷹峯の僅か数件の農家でしか作られておらず、非常に辛味が強く、水分が少ない品種です。
蕪のような見た目で小さく、用途は極めて限定的で、年越しそばの薬味に使うために年末のたった数日出回るのみとのこと。

数が少なすぎて一般流通には乗らず、一般人が狙って買える代物ではないですが、西賀茂の「松庵」さんなど、地元の蕎麦屋ではありつけるらしいです。
強烈な辛さが病みつきになるようで、これを食べないと年を越えた気がしない、というほどの愛好家が多いそうですが、私はまだ食べたことがありません。

再び大根だき

千本釈迦堂のほかに有名なのは右京区にある大谷真宗の寺院、了徳寺です。

この了徳寺は、別名「大根焚寺」とも呼ばれるほどに大根だきの歴史が長く、鎌倉時代(約750年前)に親鸞聖人が立ち寄った際に村人が大根だきをしてもてなしたことに感銘を受けられたことに因み、報恩講(親鸞の命日に営まれる法要)行事として今に残っているものなのだそうです。

同じ大根だきですが、ルーツや目的がお寺ごとに違っているのが面白いですね。
他にも、妙満寺や三宝寺など、市内各所ではこの時期これでもかという程に大根をたいております。
ぜひその由来や味の違いなども含めて楽しみながら一年の無事を感謝し、健康祈願をしていただければと思います。

とは言え、この時期の京都は時雨模様ですっきり晴れませんし、とても冷え込みます。
待ち時間もありますので、大根だきに行って風邪を引いたなどという事のないように。

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