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幻の間人ガニ

京都に「海」があるということは、皆さんご存知でしょうか。
京都市街は、確かに山に囲まれた盆地で海に面してはいませんが、「京都府」という括りでは、日本海側の丹後半島から舞鶴湾にかけての地域が含まれます。

冬の北近畿・日本海と言えば、荒れる海、吹きすさぶ風、鉛色の空。
そして「カニと温泉」。

カニと温泉。何なんでしょう、この魅惑的な響き。
グレーの世界に浮かび上がる一点の紅。
外が寒く、厳しい気候であればあるほど、沁みわたる温泉宿のぬくもり。
形容詞の反対と反対のぶつかり合い。

あぁ、カニを食べに行きたい。
明日行きたい。
いや、今すぐ行きたい!

関東在住の方は、福井や金沢あたりまで出ないと遭遇できないこの「冬の祝祭」「天のみ恵み」を、我ら京都市民は電車で片道たったの2時間で味わえます!
次の山陰線はしだて5号は12時25分発、4時にはひとっ風呂浴びた上で臨戦態勢に入れる算段っ…!

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□京都府丹後地方

…はい。どれだけ妄想しても、今日は仕事の日ですからね。
今回は何の話かと言えば「京都のカニ」。

カニが取れるのは、府北部の丹後(たんご)地方です。
府では舞鶴・丹後を「海の京都」という触れ込みで売り出し中でして、近頃は天橋立辺りに行けば、外人さんばかりです。

そう、日本三景に数えられる「天橋立」は京都府宮津市。
ここも京都府です。
と言うのも、なんか妙な感じがしますが、一応、京都府内なのです。

妙な感じと言うのは、実際駅前に降り立つと昭和の古き良き香りが漂う、いわゆる「The 地方の観光地」然としており、全く「京都要素」を感じさせないからではないでしょうか。

それもそのはず、江戸時代まで、今の京都府域は山城(南部)、丹波(中部)、丹後(北部)の三国にまたがっており、文化風習いずれも異なるものでした。

廃藩置県直後も、当地は最初から京都府ではなく、一度は豊岡県(廃止)を経て京都府の管轄となっています。

実際に、地元の方の言葉は、京都弁(関西弁)と言うよりは標準語に近いイントネーションですし、スーパーも「イズミヤ」や「ライフ」などの京都市内に多い大阪資本ではなく「にしがき」というローカルチェーンが多いなど、やはり独特です。

でも、それで良いんじゃないでしょうか。
変に京都ブランドで売り出すより、丹後は丹後です。

確かにグローバルな知名度はないかもしれませんが、冬のカニと温泉、夏の海水浴と、遊びに行く理由は事欠かないし、景色は良いし、海が見えるし(普段海のないところに住んでいると、恋しい)、天橋立の観光客が多いと言っても、京都市内に比べたら随分マシです。

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□幻の間人ガニ

やっと本題です。

冬の日本海側で取れるズワイガニは、北から「越前ガニ(石川・福井)」
「間人ガニ(京都丹後)」「津居山ガニ(兵庫城崎)」「香住ガニ(兵庫香美)」
と、水揚げ漁港の名前で呼ばれています。
タグはそれぞれ、黄、緑、青、白!(ムダ知識)

そして、我らが京都のカニは、緑のタグの間人ガニです。
読めますか。
ニンゲンガニでも、カニ人間でもありません。
たいざガニ。

単純に、京丹後市間人漁港で水揚げされただけですが、その希少さゆえに幻のカニと言われます。

およそ、豊かな時代の日本では、希少性というのはそれだけで価値を持つようで、なんでもかんでも限定限定、盛り盛りマシマシ、プレミアムプレミアム。

私は現代の一般的で質実剛健なサラリーマンですから、主にSNS上で繰り広げられる札束で承認欲求を殴り合う付加価値ゲームに参加することはせず(できず)、白状しますが未だかつて間人ガニを食べたことがありません!

今回のコラムをもって、一つの思し召しと清水の舞台から飛び降りようとしましたが、……無理でした。

……。

この流れだとコラムが終わってしまいそうなので、調べますと、どうやら、間人漁港は漁船が4隻しかない小さな港で、船も小さいので遠くの漁場まで行くこともできず、近場でさっと取って来れる分だけしか揚がらないそうなのです。

だから、文字通り生きたまま競りにかけられるほどの新鮮さと、数が少ないだけに、質の低いモノは出せないという京都仕込みの相互監視の目(おっと、それは風評)により、高い品質が約束され、料理人からの支持も絶大だとか。

はい。とても食べてみたいです。

間人の宿のカニ付きプランを見て、その値段にため息をつくばかりです。
(そういう感じの、お値段です。)

□地元人もあまり食べない

でも、まぁ安心して下さい。
丹後の友人Tさんに聞きましたけど、地元の人も、食べ(られ)ないみたいです。

冬に京都の友人と連れ立って彼の家に遊びに行こうとなった時も、
私「カニ食べたいです!」
T「分かった、知り合いの水産業者にゆうとくから」
私「マジっすか(期待大)」

当日。
T「ロシア産にしといたわ」
私「…へ?」
T「だって、地元の(カニ)めっちゃ高いじゃん。」
私「じゃんって!」←そう、彼は割とナチュラルに標準語を吐く
T「いいでしょー、どこで獲れてもカニはカニやし。」
私「ぐぬぬ」

その日の晩は、久美浜・木下酒造の「人喰い岩」なる地酒と、結局美味しい
カニを一同黙って貪り食べ…。

あぁ、やっぱり、カニを食べたい!!
美味しいカニと酒と温泉と、あいつが住んでる丹後へ行きたい。

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